文化がヒトを進化させた

 

どうして価値観を持っているの?という疑問

自分を内観していると、
必ず発見する「価値観」。
   

~であるべき
~すべき
~ねばならない

たとえば、
「人のために役に立たなければならない」
「親の言うことは聞かねばならない」
「お金を稼ぐには我慢すべき」
「言ったことは必ず守らねばならない」
「お金をたくさん稼ぐ人は、尊敬されるべき」
などなど、
いろんな価値観を抱えながら、生きています。

自分の本心と現状が
価値観が、
自分の本心と現状とマッチしているならいいですけれど、
 
 
ベキベキ、ネバネバに囚われて、
く、くるしー!
となってしまいがち。

例えば、
「人のために役に立たなければならない」
という価値観を持っているのに、
身体が思うように動かず、
自分は役立たずだって感じている時とかね。
  

私のサービスで、
湧き上がってくる感情をヒントに、
自分が持っている価値観を発見し、ありたい自分をさぐっていくという
自分内観日記のサポートをしていると、

「こんな価値観持ってるってダメだ」と自分を否定したり、
「自分が持っている価値観は、全て誰かから押しつけられたものだった!」と怒ったり、
「自分オリジナルの価値観を持っていないなんて、ダメだ」と落ち込んだり、
  
ご自身の価値観を発見して、心が揺さぶられていらっしゃる。

一体、価値観って何だろう?

 
他の自然界の生き物で、
価値観を作りだし、それに苦しむ、
という生き物っているんだろうか?
 
 
どうして人間は、価値観を持っているんだろう?

私、すごく、不思議でした。

自分を苦しめる価値観を生み出し所有しているヒト。
価値観を持っているというのには
訳があるんではないか?
と思っていました。

価値観はヒトが進化する上で欠かせなかった!

先日、その問いに答えてくれる本に出会いました。

文化がヒトを進化させた

 

ヒトの進化は、
優性遺伝とか、DNAとか、突然変異とか、
遺伝子がおこすものだ!
と思っていました。

この本の著者
ハーバード大学の人類進化生物学教授の
ジョセフ・ヘンリック氏によると、

ヒトが進化してきたのは、
「文化的な情報の蓄積」と「遺伝子の変化」の
相互作用だったというんですね。

  

本のタイトル「文化がヒトを進化させた」のとおりです。
 
 

大自然の中で、
身体的に他の動物に比べ、弱々しいヒトが、
自然界の環境に合わせて、生き抜いていくためには、
「文化」(物質的なもの、非物質的なものを含めての情報・知恵)
を獲得しなければならなかった。

その文化にあわせて、遺伝子も変化したというのです。
世界の7割の大人には乳糖耐性がない(牛乳を飲めない)のに、
チーズ(乳糖を含まない)やヨーグルト(乳糖分解酵素)の
食文化を持たない民族には、乳糖耐性があるのも、
早期の段階で、コツコツと日々働かなくてはいけない稲作を
始めた民族はアルコールに弱いのも、
(アルコール依存になっては、作物が収穫できない)
文化に合わせて遺伝子が変化したもの。

  

ヒトにとって「文化」こそ、生き抜く術。
よって、生き抜くための情報も膨大になり、
「脳」が大きくなり、
膨大ゆえに基本情報をインストールする幼年期が長期に渡り、
膨大な情報を次世代に伝えていくために、
生殖期を過ぎても、生存し続ける。

 

ヒトが大きな脳を持っているのは、
「膨大な文化パッケージ」を
持っているからだというのです。
 

 
脳が進化したから、情報をストックできるようになったんじゃなくて、
情報をストックするために、脳が進化したんですね。
 
 
 
ひとつひとつの個体としてのヒトは、
文化(情報・知恵など)を受け継ぐために生きている
って言っても過言ではないのかなと思います。

文化(情報・知恵)が蓄積されると、
自分一人の根拠のない勘を頼るよりも
共同体で受け継がれてきた膨大な情報を信じるようになります。
 

「愚か者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」(ビスマルク)
の言葉は、まさに、このことだと思います。
  

たとえば、理由はよく分からないけれど続いている慣習には
実は訳があって、
それを怠った結果、何世代も後に健康的な被害がでる、
というものもあるそうです。

そうなってくると、
そんな代々受け継がれてきた情報、知恵を持っている人が
権力を握るようになる。 
社会的な地位が形成されていきます。

そして、集団が大きくなれば、情報、知識、知恵は増え、
素晴らしいアイディアを思いつく可能性が高まります。
すると、生き延びていく可能性、より豊かに暮らせる可能性が高まる。
そのためにも、大きい共同体へと発展していきます。
 
 
一方で、大きな社会を維持していくためには、
規範・ルールが必要になります。
  
実験によると、驚くことに、赤ちゃんでさへ、
人が反社会的な行動をする人を傷つけるのを好むのだそうです。
そして、幼児期には、教えられなくても観察の中でルールを発見し、
ルールを守らない人には怒り、ルールを教えようとするのだそうです。
  

もう、生まれつき、ルール(~でなければならない、~べき)を発見し、
それに従うように
インプットされているのですね!
逸脱行為を禁止し、文化を継承する共同体を守るように
プログラムされているって、驚きです。

著者のヘンリックは、それを「自己家畜化」と言っています。
自分を自分で共同体の家畜にしているという揶揄ですね。
 

そう考えると、
私たちが抱えている
「~ねばならない」
「~すべき」
といった価値観は、
持っているのが自然ですし、
共同体存続のために、
個人がその共同体で生き抜いていくために、
価値観を探してそれを守る機能が、
生まれつきインストールされている訳です。

 

価値観に良い・悪いはない

そもそも、どうしてヒトは価値観を持っているんだろう?
という疑問を持っていた私、
この本を読んで、
なぁんだ、そういうことだったのか、と
安心しました♪

 

そして、今、自分が抱えている価値観が
ありたい自分にマッチしているか、いないかはさておいて、
とても大切なものに思えてきました。
   
 
 
まずは、自分を内観する中で、
ネバネバ・ベキベキの価値観の囚われに気づいた時、

この価値観はダメ!とか、イイ!とか判断せずに、
 

あぁ、この社会、自分が所属する共同体を維持していく為に
そこで自分が生きていく為に、
必要だったんだなぁって
認めてあげられるようになると、

 
 
その価値観を抱いている自分自身にも、
同じような価値観を抱いている他の人にも
優しくなれるんですね~。
  
 
 
その後で、自分が本当に望む世界、理想の世界、
本当にあるべき社会にとって、
私はこの価値観を採用するかな?
緩めようかな?
手放そうかな?
って改めて考えてみる。

今暮らしているのは、
「家畜小屋」なのか、
「自分の家」なのか、
という問いも合わせてたててみると、

安心安全に感じていた「小屋」から飛び出して、
家畜から、野生へという道を選択するのかもしれません。

 

すると、もっと高い視点から、
優しい眼差しと勇気を持って、
自分が持っている価値観を見つめることが出来ますね。

ちなみに、この本は、興味深い文化と進化のテーマがたくさん。
  
 

私が普段テーマにしている
パートナーシップについての研究もあり、
人は本来「つがい本能」があるということにも触れています。
なぜ、つがいの方が都合がいいのかという理由や
女性の排卵日が分からないようになっている理由や
霊長類では類を見ない閉経後もコミュニティに残るヒトの理由や、
南米の先住民族には、第二の父親を作るために、婚外性交渉を行う理由や、
父親のいない社会(女系集団)についての記述があったり、

食文化については、
本能を乗り越えて唐辛子を快感と感じる味覚の発達の文化的背景や
トウモロコシに灰をまぶして食べる理由なども興味深かったです。

土着の文化を学ぶことをしなかった探検家チームは壊滅したとか、
なぜプレステージ(名声・信望)の高い人はお金や知識を出し惜しみしないのか?
プレステージが低い人が寄付をしても効果が低い理由、
人間のプレステージへの憧れを利用して、
イギリスの探検家ジェームス・クックが壊血病予防のために
船の水兵に不味いザワークラウトを食するように仕向けた方法、

個にフォーカスする西洋人、集団にフォーカスする東洋人で、
視覚情報の受け取り方の差異(同じ長さの線でも違って見える)

などなど。

数え上げればきりが無いほど、
「文化」が人の心と行動、遺伝子までもを操って、
私たちは進化してきているんだ!
という実例をいっぱい挙げてくれています。
 

「集団脳」への畏敬

私が、この本を読んで一番感じたのは、
集団としての脳(集団脳)の絶対的な存在。
 
 
目には見えないし、形もはっきりないけれど、
脈々と受け継がれてきた文化の蓄積としての集団の脳。
人類の歴史と同じだけの星一個分のメモリー。
  

 
大昔は、小さな集団脳だったのが、
今や、世界は繋がって、
地球という星ひとつ規模の集団脳になっているって
壮大な物語ですよね。

 
 
これまでの知恵の集結としてある
今、当たり前に使っている「スマホ」や「PC」も
誰か一人の思いつきじゃなくて、
膨大な過去の蓄積によって、今、手にできているんだなぁと
ありがたい気持ちになりました。

  
 
アイザック・ニュートンがフランスの哲学者の言葉を引用して書いた手紙の一文

「私がかなたを見渡せたのだとしたら、
 それはひとえに巨人の肩に乗っていたからです」

この言葉に集約されているなと思うのです。

人間の集団脳を思うとき、
「知的財産権」とか「特許」を言い出すのって
ちっちゃ!って思います。
そのルールにも理由があるので、従いますけれど、 

自分の発見!
自分の経験!
自分の発明!
自分の言葉!
なんて思っているって
おこがましいなって思うんですよね。
 
  
文化やアイディアはみんなのもの。
先を越されたというのもない。
  
  
それを表現して、
よりよい世界のために使う意思にある人に分け与える人こそ、
プレステージの高い人、
新しい社会、地球を牽引していく人になるんだろうなと思います。
 

私も文化を進化させるような、与える人になりたいな!と思います。
そのためには、学びを続ける、表現する、受け取ってくれる方と出会い、与える。
身近なところから、それの繰り返しですね。 
 
 
最後までお読み頂き、ありがとうございます。

文化がヒトを進化させた

 

 

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